負の遺産

「負の遺産」ーーー 近年、周りの人々の口によくのぼる言葉です。
地方に住んでいて、今このことで悩んでいる人は少なくありません。山林は言うまでもなく、かつては先祖様が残してくれた有難い土地と思われていた田んぼや畑、宅地までが厄介者にされる。過疎化や限界集落の広がり。最近問題になっている熊の脅威も他所事とも言えません。被害は岐阜、滋賀、奈良まで広がり、我々の地域にもせまってきています。
近隣の住民のことを考え、休みを返上してまで何とか草刈りや雑木の伐採など苦労しておられる人たちも少なくありません。とは言え状況はかなり深刻で、里区ではそれほどではないとしても、伊賀地域や隣県を車で走っていて目にするのは竹林や雑草の繁殖がどんどんひどくなっている景色です。周りの目を気にしながらも、日々の生活に追われ対応が追い付かないほどになっているのでしょうか?
一方で、不在地主のケースはより深刻です。身近に接する現実でもないことからほぼ他人事になっていると思われます。現実には管理を放棄していても法的に責任を問うのは極めて困難な状況です。
当地区でも廃屋となった大きなビルが年月を経てて少しずつ劣化している様子が観察されます。周辺の住民は屋上の設備の一部が落下したりして被害を発生するのでは等不安を感じていますが、有効な対策は見つかっておりません。
<以下はイメージ図で当区の景色ではありません>



このことは全国的に問題となっていることで、政府もようやく重い腰を上げ令和元年に土地基本法が大きく改訂されました。(注)
いずれにせよ、これにより登記の適正化や地方自治体の環境保全への責任が明記されたことは重要です。環境保全は自治会の主要目的とされているとはいえボランティアの活動だけでは限界があり、市や県の役割はいくら強調してもしすぎるものではありません。
(注)いわゆる対決法案とみなされなかったことからマスコミでは殆ど取り上げられず、国民の殆どは知らないようです。唯一共産党は、土地の公共性を名目に地権者の所有権が脅かされるという理由で反対しましたが、いわゆる公共開発等で住民が立ち退きを迫られるケースなんかを問題にしたものと思われます。とはいえ、地方では地域環境の劣悪化等むしろ公共性が深刻となっているようにも思われます。


