地縁法人について その③

地縁法人(認可地縁団体)は、②で述べたように、個人を構成員とし直接民主主義を組織原則とするとされています。よって代議制は認められていないことになっています。
ところが規約には「世帯の会員数分の1」条項(21条の2)というものがあります。例えて言うと、5人家族なら一人一人が1/5人分ずつ、2人家族なら1/2人分ずつの議決権を有する取決めです。すなわち、個人ではなく世帯で1票という規定(世帯=主権者)です。これは、認められていない筈の一種の代議制で、基本原則であるはずの個人は1人前に扱われず、しかも個人間に差が生じることになります。しかも、世帯の中でどのように意見を集約するか等の手続きは示されていません。
こういった事情もあり、これが適用できるのは限られた議題だけで、規約改定や役員選任といった案件では使えません。
ところで総会の現実を見ると複数で総会に出席する世帯はなく、あたかも世帯代表の会議の様相となっています。区行事でも家族で複数参加するのはクリーン作戦ぐらいなもので、後は全部世帯単位の参加が現実です。
このように認可地縁団体には矛盾したような中途半端な取り決めがあります。昔の慣行と適当に妥協しながらも基本的な組織原則に沿った団体に脱皮していこうということかもしれません。
認可地縁団体を定めた関連法規(地方自治法第260条の2~40)にはあまり細かい規定がありません。しかし「手引き」というものが付属していてそれを参照しながらの運営になります。「手引き」は法律ではありませんが、それから外れたことをやると許認権者である市長の認可をえられないということから事実上の法律とみなされます。